【特別インタビュー】HELLY HANSEN × モリトアパレル(株) デニムが纏う“海の記憶” LIFA×MURON®=LIFAデニム
夏にもデニムを心地よく着てほしい。
――そう語るのは株式会社ゴールドウイン ヘリーハンセン事業部 井上 翔太氏
今回、HELLY HANSEN 2026年春夏 <LIFAデニム>商品に日本国内で回収された廃漁網を100%使用して
作られたモリトアパレル株式会社の再生資材「MURON®︎(ミューロン)」の糸を採用いただきました。
持続可能な資源循環社会への実現に貢献するために生まれた素材が、
アウトドアのフィールドを知るブランドの視点と重なり、新たな価値として息づく——。
その背景に込められた想いや選択の理由を探るため、
< LIFA デニム>企画担当の井上氏にお話をうかがいました。
Q 改めてHELLY HANSENブランドの成り立ちと
H2Oプロジェクトの背景についてお聞かせください。
HELLY HANSENは、 1877年にノルウェーで創業し、140年以上にわたり機能的なウェアで
海や山で活動する人々をサポートしてきました。
創業者のヘリー・ジュエル・ハンセンはモスという港町で商船艦長を務めており、
乗組員が快適に仕事をするための防水ウェアとしてコートをつくったのが
ブランドの始まりだったといわれています。
H2Oプロジェクトでは、2020年頃から海洋回収素材を使用した商品の展開を開始しました。
当初は東南アジアで回収したペットボトルをリサイクルした繊維を使用していました。
そこから石垣島で回収した海洋回収素材を原料に活用することでトレーサビリティを確保し、
顧客が“環境配慮に寄り添える形”を目指しているところです。
Q 今回のLIFAデニムの企画は、
どんなテーマを掲げてスタートされたのでしょうか。
"海にルーツを持つ素材を原料に使い、海へ気軽に出かけられる一着をつくる。"
そんな思いをきっかけに、“波しぶきがかかっても気兼ねなく楽しめるデニム”という
イメージを膨らませていました。
デニムは濡れると乾きにくく、水分を含んで重くなってしまうもの。それがデニムの“あたりまえ”。
そのイメージを刷新する一着を、目指しました。

(開発を担当した株式会社ゴールドウイン ヘリーハンセン事業部 井上 翔太氏)
Q 新規格の生地ということで生地開発も苦労されたとお聞きしました。
そうなんです、実は2024年頃から開発はスタートしていました。
テーマを具現化するため、デニム生地の開発にはHELLY HANSENが開発した高い疎水性をもつ
ポリプロピレン糸〈LIFA〉を緯糸に、
そして“海にルーツを持つ素材”として〈MURON®︎〉の糸を経糸に選びました。
これまでもMURON®︎を使った製品づくりをしてきた経験から、
日本国内で回収された廃漁網100%でつくられる、その糸が持つ背景ストーリーと特性を
深く理解していたからです。
この組み合わせによって、私たちが生地づくりで追い求めていた
“軽さ・速乾性・色落ちのしにくさ”といった機能は叶えられましたが、
一方で、糸の繊細さや熱への弱さから量産化には多くのハードルがありました。
染色工程の見直しも含めて数多くのトライ&エラーを重ね完成まで、最終的に2年以上の時間を要しました。

Q シンプルなデザインだからこそ、そこに込めた想いが気になります。
ぜひ、その想いについてお聞かせいただけますか。
タウンユースにも、海へ出かけるマリンスタイルにもフィットする、
デザイン面でもそんな自由度の高さを追求しました。
平日はデニムジャケットを羽織って仕事をし、速乾性があるので夜に洗ってもすぐ乾く。
だから休日には、同じジャケットを着て海へ向かうことができる。
さらに、デニムワンピースは肩が凝るような重さがなく、シンプルで軽やかにまとえる仕上がりに。
華美な装飾を施さず、シーンに合わせて自然に溶け込むしなやかなライフスタイルを
デザインに落とし込みました。
実際、製品が完成した際には社内でも「オフィスでジャケット代わりに着られるね」という
声が上がり、世界観がしっかり形になったと感じています。

Q 最後に2月27日にLIFAデニムワークジャケット、LIFAデニムワークパンツ、LIFAデニムワンピースの3アイテムが発売され、
御社のECストアではすでに一部商品がSold Outするなど反響を呼んでいます。
ユーザーが環境配慮の思想やものづくりへの姿勢に、
より共感するようになっている表れだと感じますが、
今後の展開も含めて井上さんはどのように捉えていますか。
社内でさまざまな議論があったものの、深刻化する海洋環境の問題に向き合うことは、
ブランドとして果たすべき使命だと感じていました。
実際に伊豆での廃漁網回収、選別活動に参加し、ゴールドウイン本社でも同イベントを開催し
売り場のメンバーも含め自分事に感じてもらう場も作ってきました。
今後その活動で回収した廃漁網をプロダクトにつなげていきたいと思っています。
ヨーロッパではアパレル生産における環境規制が進む一方、
日本はまだその取り組みが十分とは言えない現状があります。
だからこそ、日本人に改めて環境配慮を考える機会を与えるプロダクトづくりを実現したい。
その想いを形にするために、私たちは MURON® を通して、
海洋環境への問題意識とブランドとしての使命感を、
プロダクトという確かな姿へと具現化させていきたいと考えています。
MURON® が HELLY HANSEN のプロダクトに息づくことは、
私たちにとって、ひとつの“取り組み”を超える意味を持ちます。
海を想い、環境とともに歩む姿勢が、確かにひとつの形になったのだと。
これからも素材とブランドが響き合いながら、よりよい循環を生み出していくために。
その第一歩となる今回のインタビューは、未来への静かな確信を私たちにもたらしてくれました。

「HELLY HANSEN(ヘリーハンセン)」
1877年にノルウェーで誕生したアウトドアブランドです。
創業以来140年以上にわたり防水テクノロジーを追求し、
自然と対峙しながら共存するために革新的な製品を開発してきました。
また、子供たちの未来を考え、100年先も子供たちが遊べるきれいな海を
残していくためにアクションしています。
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